病気で苦しんでいる方のために、まずは私のオリエール病のことについて、お話します。

オリエール病の患者は、世界中でも事例が少ないのが現状です。基本的に、軟骨に病変があり、骨の変形が発生すると考えられています。さらに、私は血管腫瘍も合併し、マファキ症候群と診断されています。

骨が薄く、少しの負荷で骨折することもあります。悪性化については約30%程度と言われています。定期的な観察により早期発見につながります。難病指定はされていません。

そのため、研究も進まず不明なことばかりです。私は、パラスポーツの活動以降、全てオープンにしてきたとはいえ、心の奥には、オリエール病のことは言いたくないという気持ちがあったかもしれません。

確かに、障がいを隠したい、障がい者手帳を持ちたくないという気持ちがあった事は事実です。世の中、障害の害の字を漢字からひらがなへ変えることや、障がいは個性というキーワードにより、嫌な気持ちをされている方もいらっしゃいます。

しかし、差別や偏見があるからと言って、自分自身の障がいを隠すことはやめようと考えるようになりました。その理由は、2つあります。

1つ目は、病気による体や心の痛みをなくしたいと考えるようになりました。TwitterのDMをいただき、同じ障がいによって、苦しんでいる方がいることを知り合いました。

同じように、社会に適応するため、たくさんのことを我慢してきたと思います。体の面では、周囲への配慮や、空気を読むことなどが影響し、痛みを我慢し、学校や仕事へ行ったこともありました。

徐々に、人に痛みを伝えることが面倒となり、黙っていることが美徳に感じ、繰り返すことでクセになっていきました。

パラスポーツにて経験したことを例にすると、専門家の意見を踏まえて、負荷を与える一方、日常生活では周囲の影響が大きく左右され、負荷をコントロールすることが難しくなります。

装具で歩行することは、バランス感覚を整えるのが難しく、冬の凍った路面やツルツルとした床では転倒しやすくなります。

心の面では、障がい者でも健常者と同じように、問題なく働けるというイメージにより、見過ごされてしまうこともあります。

例えば、街中で困っている人を見かけた時、通り過ぎてしまったことがあります。仕事や友達との約束のため時間に遅れてしまうからなど、理由はさまざまですが、助けてくれるだろうという心理がはたらきました。

障がいの世界も同じことが言えます。国や行政、地域など、誰かが助けてくれるだろうという発想の結果、サポート体制が整わないだけでなく、人を批判する方向に舵がとられてしまいます。

少し話が逸脱しましたが、健常者の世界に合わせようと、障がい者が努力することは、良い効果がある一方、問題が発生した場合、周りが大丈夫だろうと判断し、無意識な偏見いわゆるアンコンシャス・バイアスとなることがあります。

そうしたことを無くすため、自分自身のことを伝えています。 2つ目は、自分自身の病気について、関心を持ってもらうことで、研究が進む可能性があります。パラスポーツを挑戦する過程で、さまざまな実験を個人として挑戦しています。

例えば、不明とされる障がいのある右脚への負荷を与えています。それは、左右バランスを整えて、パフォーマンスを高めることはもちろんのこと、永続し、健康であり続けられるように、フィットネスの効果もあると考えています。

成人のオリエール病患者の筋肉や骨のデータはありません。医学的な視点も必要となり、誤った判断をしないよう努めています。少数派の意見いわゆるマイノリティーの意見だけでなく、多様な見解も取り入れて考えることも大切です。

そのため、対話や、自らの経験と知見により、オリエール病のエビデンスを作り、同じ病気で困っている人の役に立つ可能性を模索していきたいです。

最後に、痛みに耐えながら、手術をされた方がいます。手術の成功に向けて、無我夢中で、空へお祈りをしました。もちろん、科学的な根拠もなければ、宗教観もありません。手術は無事に成功し、現在リハビリをされています。これを良い機会とし、家族や友人、クラブ、恩師、DOSAパラエールに関わる皆さん、NFの方たちなど、親身になり行動し、支えてくれる方たちに感謝しながら生きていこうと思います。

これからも前向きに、同じ病気がある方や私を支えてくれている方たちのために、全力でパラスポーツに挑戦していきます。 自分を強く信じて強く生きていきます。

では、笑顔の1日を。

とおる